







グアテマラ ラ・クプラ農園 ブルボン ウォッシュド
Origin of Antigua
火山と合理が磨き上げた、アンティグアの古典
グアテマラ西部、世界的なコーヒー生産地として知られるアンティグア。その中でもフィラデルフィア農園は、19世紀からグアテマラコーヒーの基準を築いてきた歴史ある存在です。今回ご紹介する「ラ・クプラ農園」は、その広大な農園の中でも標高2000m級の高地に位置する特別区画。ブルボン品種のみを栽培し、アンティグアらしい厚みある甘さと、洗練された酸の輪郭を兼ね備えています。アップルを思わせる明るい果実感から始まり、オレンジのような酸味、アーモンドやチョコレートへと続く余韻は、クラシックなスペシャルティコーヒーの魅力を静かに語ります。
感じられるフレーバー
1870年創業のフィラデルフィア農園は、単なる大農園ではありません。創業者マヌエル・マテュー・シニバルディは、当時のグアテマラ国内にコーヒー栽培の共通基準を設計し、選抜した苗木を広めることで、国家規模の品質改革を推進しました。19世紀後半、天然染料産業の衰退とともにグアテマラ経済はコーヒーへ大きく転換していきます。その歴史の中心で、品質と輸出の合理化を支えたのがフィラデルフィア農園でした。1899年のパリ万博でグアテマラコーヒーが金賞を受賞した背景にも、この農園が築いた品質思想があります。
La Cupula は、その長い歴史の上に再設計されたロットです。四代目ロベルト・ダルトンの時代、農園は大量生産から高品質路線へと大きく舵を切りました。高標高区画のみを切り分け、ブルボンという古典品種を維持しながら、アンティグアのテロワールをより純粋に表現する方向へ進化。合理と伝統、その両方が積み重なった味わいには、グアテマラという国が歩んできた歴史そのものが静かに重なっています。
Land and People
火山灰土壌と盆地気候が育む、アンティグアの厚み
アンティグアの魅力は、単純な火山性土壌という言葉だけでは語りきれません。中米の火山は、アフリカのリフト系火山とは異なり、海洋プレート由来の多様な堆積物を地下深くで混ぜ合わせながら形成されます。その結果、この地域の若いアンディソル土壌には、突出した単一ミネラルではなく、複雑でバランスの取れた成分構成が備わっています。La Cupulaのボディに感じられる厚みや、チョコレートを思わせる甘さの持続性には、この豊かな土壌環境が深く関係しています。
さらにアンティグア特有の「盆地気候」が、品質形成に大きく作用します。周囲を火山に囲まれた地形は霧を適度に滞留させ、有機物分解を支える湿度を保ちます。一方で、1650〜2100mという高標高の冷気が微生物活動を穏やかに抑制し、有機物が急速に失われることを防ぎます。この湿度と冷気の絶妙な均衡によって、長い年月をかけて蓄積された腐植質が、アンティグア特有の重層的な質感を生み出しています。
現在この土地を率いるロベルト・ダルトンは、伝統ある農園を守りながらも、品質重視の生産体制へ移行を進めてきました。歴史的農園でありながら、標高や区画ごとの個性を細かく切り分け、スペシャルティコーヒーとしての価値を再定義している点に、La Cupulaの現代性があります。
Native Varietals
コーヒーの多様性を支えてきた、ブルボンという基準
ブルボンは、スペシャルティコーヒーの歴史を語るうえで欠かせない重要品種です。イエメン由来の系統がブルボン島(現在のレユニオン島)で変異し、その後世界中へ広がりました。さらに各地でカトゥーラやパカス、ヴィラ・サルチといった変異種を生み出し、それらを親とするムンドノーボ、カトゥアイ、パカマラなど、多くの現代品種へ繋がっています。現在のコーヒー品種の多様性は、ブルボンの存在なくして成立しなかったと言えるほどです。
特にブルボン系統は、「品質基準」としての役割を長く担ってきました。甘さの質感、酸の滑らかさ、透明感のある後味。多くの新品種開発においても、ブルボン系統の風味バランスが比較対象となっています。一方で、サビ病への弱さや生産性の低さから、近年では世界各地でハイブリッド品種への植え替えが進んでいます。
そうした背景の中で、現在も高標高環境でブルボンを維持している農園は決して多くありません。ラ・クプラ農園では、標高・管理体制・選別精度を高い水準で保つことで、ブルボン本来の魅力を現代的な品質で表現しています。アップルのような酵素感を伴う果実味、オレンジの透明感、アーモンドやチョコレートへ繋がる落ち着いた甘さには、この古典品種ならではの輪郭が丁寧に残されています。
Clean Washed Craft
アンティグアの輪郭を磨き上げるウォッシュド精製
収穫は、チェリーの糖度を確認しながら最適な熟度で行われます。手摘みされたチェリーは水槽で比重選別され、未熟豆や欠点豆を取り除いた後、密度の高いチェリーのみが次工程へ進みます。収穫後8〜12時間以内という短時間でパルピングを行うことで、過発酵を防ぎながらクリーンな風味形成を促しています。
その後、ミュシレージを残した状態で24〜36時間の発酵工程へ。緩やかな発酵によって有機酸と糖のバランスが整い、アンティグアらしい透明感ある酸味と複雑な甘さが引き出されます。発酵後は綺麗な水で丁寧に洗浄し、水路内で再度密度選別を実施。重量感のある豆のみを最上級ロットとして仕上げています。
ラ・クプラ農園の特徴的な工程が、伝統的なレンガ造りのパティオによる100%天日乾燥です。レンガは熱容量が大きく、急激な温度変化を抑えながら乾燥を安定化させます。また、霧による湿度変化にも柔軟に対応し、乾燥を緩やかに継続できる点が大きな特徴です。約10〜14日間かけ、水分値を11.0〜11.5%まで丁寧に落とすことで、チョコレートを思わせる甘さや、厚みあるボディが安定した状態で定着していきます。
Selected Lot Journey
古典的なアンティグア像を、現代の焙煎で再構築する
アンティグアは、1773年の大地震によって時間が止まった街でもあります。首都機能が移転したことで急速な近代化を免れ、現在も重厚なアンティグア・バロック建築と火山風景が共存しています。街のどこからでも視界に入るフエゴ火山の存在と、静かに漂う歴史の空気感。その独特な雰囲気は、この土地のコーヒーにもどこか重なっています。
WOODBERRY COFFEEでは、深煎りラインナップの中に「アンティグア・ブルボン」を加えたいと考えていました。選定基準にしたのは、歴史ある大規模農園が長年維持してきた単一品種ロットであること。そして、伝統的なアンティグアらしさが、現代のスペシャルティコーヒーとして成立していることでした。
焙煎では、「フルーティな印象を消さない深煎り」をテーマに設計しています。深度を持たせながらも、アップルを思わせる酵素感やオレンジの明るさを残し、カラメルやチョコレートの甘さへ自然に接続するバランスを重視しました。クラシックな味わいでありながら、現代的な透明感も感じられる仕上がりを目指しています。
Taste of El Chaco
歴史と火山が重なり合う、アンティグアの余韻
La Cupulaには、派手な発酵由来の個性とは異なる、クラシックなグアテマラコーヒーの魅力があります。
長い歴史の中で積み重ねられてきた栽培技術、火山灰土壌と盆地気候が支える質感、そしてブルボンという古典品種。そのどれか一つではなく、土地に蓄積された複数の要素が重なり合うことで、この味わいは形づくられています。
合理的に整備された大規模農園でありながら、飲み進めるほどにどこか静かな温度を感じること。それもまた、アンティグアという土地が長い時間をかけて育ててきた個性なのかもしれません。
ご自宅でも、アンティグアの静かな空気感を感じていただけたら嬉しく思います。
【生産国】グアテマラ
【地域】アンティグア
【農園】ラ・クプラ農園(フィラデルフィア農園内)
【生産者】ロベルト・ダルトン
【標高】1,650〜2,100m
【品種】ブルボン
【プロセス】ウォッシュド
【焙煎度】深煎り
Country:Guatemala
Region:Antigua
Farm:La Cupula (Finca Filadelfia)
Producer:Roberto Dalton
Altitude:1,650〜2,100m
Varietals:Bourbon
Process:Washed
Rost Level:Dark Roast
コーヒーの保存方法について >>
コーヒー豆は、チャック付バッグに入れてお届けいたします。
背面にはコーヒー豆の焙煎日が記載されています。
<美味しく飲む目安>
ハンドドリップ:焙煎から2〜3週間くらいが豆の持つ風味がバランスよく感じられます。
エスプレッソ:焙煎から3週間前後くらいが甘さを感じやすく、ミルクとの相性もよく感じられます。
焙煎後2ヶ月くらいまでを目安にお召し上がりください。
<長期保存について>
飲みきれない場合は密閉容器で冷凍保存がおすすめです。
冷凍保存の場合は、半年ほどの期間を目安にお召し上がりください。
詳しくはこちら >>
オプションを選択



































































